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ドイツの電子インボイス義務化:期限とルール

フリーランスと小規模事業者向けのドイツ電子インボイス義務化のスケジュール
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16 分で読めます

2025年1月1日から、ドイツに拠点を置くすべての事業者は電子インボイス(E-Rechnung)を受け取れる状態にしておく必要があります。フリーランスや小規模事業者(Kleinunternehmer)も対象です。ドイツ国内の他の事業者への発行は、2028年1月1日以降に行った取引から義務になります。前年の総売上が80万ユーロを超える場合は、2027年1月1日以降の取引から義務です。Kleinunternehmer(§ 19 UStG)と総額250ユーロ以下の請求書は、発行義務から恒久的に除外されています。

このガイドは、ドイツでフリーランスや個人事業主として働く日本人の方と、日本や他国からドイツの取引先に請求している方(多くの場合、義務の対象外です)に向けたものです。

取引先やドイツの公的機関からすでにXRechnungを求められていますか? 無料のXRechnungジェネレーターなら、アカウント不要でXRechnungまたはZUGFeRD形式のPDFを日本語の画面で作成できます。

ドイツでいう「電子インボイス」とは

ドイツの売上税法(§ 14 Abs. 1 UStG)は、E-Rechnungを「構造化された電子形式で発行・送信・受領され、電子的な処理が可能な請求書」と定義しています。形式は欧州規格EN 16931に準拠しているか、それと相互運用可能である必要があります。

それ以外はすべて「その他の請求書」(sonstige Rechnung)です。紙だけでなく、通常のPDF、スキャン画像、写真、メール本文に書いた請求内容もこれにあたります。ドイツ連邦財務省(BMF)は「データが組み込まれていないPDFファイル」を明示的に挙げています。WordやほとんどのアプリでつくるPDFは、メールで送ってもE-Rechnungではありません。

実務で知っておくべき形式は2つです。

XRechnungZUGFeRD
中身XMLファイルのみXMLを埋め込んだPDF(ハイブリッド)
人が読めるか専用ビューアが必要普通のPDFとして開ける
主な用途公的機関、会計ソフトを使う取引先請求書を「目で見たい」企業
E-Rechnungとして有効か有効バージョン2.0.1以降(MINIMUM・BASIC-WLプロファイルを除く)

ZUGFeRDでは、法的に意味を持つのはXML部分です。BMFによれば、PDFとXMLの内容が食い違う場合は構造化データが優先されます。

スケジュール

経過措置は§ 27 Abs. 38 UStGに定められています。基準になるのは請求書の日付ではなく、取引(役務の提供)を行った日です。

取引を行った時期ドイツの事業者顧客に送れるもの
2025年・2026年紙、PDF(顧客の同意があれば)、またはE-Rechnung
2027年(前年の総売上が80万ユーロ以下)引き続き紙・PDF(同意があれば)、またはE-Rechnung
2027年(前年の総売上が80万ユーロ超)E-Rechnung(同意があればEDIも可)
2028年1月1日以降すべての事業者がE-Rechnung

例:ベルリン在住で、ドイツで売上税の登録をしているイラストレーター(年間売上6万ユーロ)が、ハンブルクの代理店に2,000ユーロ+売上税380ユーロ(19%)を請求するとします。2026年11月の仕事ならPDFで問題ありません。2027年3月の仕事も、2026年の売上が80万ユーロ以下なのでPDFで可能です。2028年2月の仕事ではE-Rechnungが必要です。

受領:2025年からのルール

ドイツに拠点を置くすべての事業者は、電子インボイスを受け取れる技術的な準備が必要です。BMFはKleinunternehmerも含むと明言しています。ドイツの仕入先は、あなたの同意なしに電子インボイスを送ることができます。

受け取りは通常のメールアドレスで十分で、専用のアドレスは不要です。ただし、ファイルを読み、原本を保存できなければなりません。

  • XMLファイル(ZUGFeRDならPDFファイル全体)を、変更せずに8年間保存する(§ 14b UStG)。
  • XRechnungはビューアで表示して確認する。印刷物はファイルの代わりになりません。
  • ほかの請求書と同じように記載内容を確認する。

E-Rechnungの受け取りを拒否しても、代わりにPDFや紙の請求書を求める権利はありません。

発行義務の対象者

義務が生じるのは、双方がドイツに拠点(本店、恒久的施設、住所)を持つ事業者で、取引が顧客の事業のために行われる場合です。仕入側が作成する請求書(Gutschrift)、§ 13b UStGによる国内リバースチャージ、顧客自身がKleinunternehmerや非課税取引のみの事業者(住宅の貸主など)である場合も含まれます。

次の場合は義務の対象外です。

  • 個人顧客(B2C):PDFや紙のままで構いません。消費者にE-Rechnungを送るには本人の同意が必要です。
  • 国境をまたぐ請求:どちらか一方がドイツに拠点を持たない場合、義務はありません。東京のデザイナーがミュンヘンの企業に請求する場合も、契約で別の定めがない限りPDFで送れます。
  • 非課税取引(§ 4 Nr. 8〜29 UStG、多くの医療行為など)。請求の一部だけが非課税の場合は、請求書全体に義務が及びます。

知っておきたい3つの例外

義務の対象であっても、次の請求書は常に「その他の請求書」(紙やPDF)として送ることができます。

  1. Kleinunternehmer(§ 19 UStG、§ 34a UStDV)。2028年以降も同じです。売上税を請求しない小規模事業者のためのドイツの制度です。ただしPDFで送るには引き続き顧客の同意が必要で、PDFの請求書を異議なく受け取っていれば黙示の同意と認められます。
  2. 少額請求書:総額250ユーロ以下(§ 33 UStDV)。タクシー代や89ユーロの部品代などです。
  3. 旅客運送の乗車券(§ 34 UStDV)。

これらの場合でもE-Rechnungを送ることはでき、ドイツの事業者顧客の同意は不要です。

Kleinunternehmerに電子インボイスの発行義務はありませんが、受け取れる準備は必要です。請求書には引き続き§ 19 UStGによる免税の記載が必要です。任意でXRechnungを作る場合、明細は0%とし、理由に「Kleinunternehmer」を指定します。

E-Rechnungに記載すべき内容

記載事項は変わりません。§ 14 Abs. 4 UStGの必須項目、つまり双方の名称と住所、ドイツの税番号(Steuernummer)またはVAT番号、連番の請求書番号、発行日、取引日、数量と内容、税抜金額、税率と税額です。具体例はドイツでフリーランスとして請求する方法で解説しています。

新しいのは、それらをどこに書くかです。必須項目は構造化部分に含まれていなければなりません。XMLの中で「内容は添付PDFを参照」とするだけでは不十分です。ただし、作業時間の明細などを追加で添付することはできます。

BMFは2種類のエラーを区別しています。

  • 形式エラー:ファイルが規格に合っていない場合。この場合はE-Rechnungではなく「その他の請求書」となり、義務が始まった後は問題になります。
  • ビジネスルールのエラー:項目の欠落や項目同士の矛盾。XRechnungで購入者参照(BT-10)が欠けていても、売上税上は問題になりません。一方、誤った税率は内容の誤りのままです。

バリデーター(検証ツール)を使うと、両方を見つけやすくなります。ドイツの公的機関宛ての請求書では、購入者参照は通常Leitweg-IDで、これがないXRechnungは原則として受け付けられません。

5つのステップで準備する

  1. 受信用のメールアドレスを決める。 仕入先にE-Rechnungの送付先を伝えます。
  2. 保存方法を決める。 原本ファイルを8年間、変更せずに保管する場所を決めます。
  3. 自分が対象か確認する。 Kleinunternehmerか、個人顧客だけか、ドイツ国外の顧客だけか。どれにも当たらなければ、2027年と2028年のどちらからかを確認します。
  4. 登録情報をそろえる。 有効なE-Rechnungには、完全な住所、顧客のメールアドレス、SteuernummerまたはVAT番号、XRechnungの場合は電話番号が必要です。
  5. 義務化の前に試す。 常連の取引先に今のうちにZUGFeRDの請求書を送り、相手の経理で処理できるか確認します。

ドイツの電子インボイスを作成する

単発の請求書なら無料のXRechnungジェネレーターで十分です。売り手、顧客、明細を入力すると、未入力の必須項目が入力中に表示され、XRechnung 3.0(XML)またはZUGFeRD PDF(PDF/A-3、EN 16931プロファイル)をダウンロードできます。税率19%・7%・0%に対応し、0%ではKleinunternehmer(§ 19 UStG)またはリバースチャージ(§ 13b UStG)を選べます。データは保存されず、アカウントも不要です。

定期的に請求する場合、ドイツに拠点を置く事業者はStarterプラン以上で、KipBillのアプリからどの請求書もこの2つの形式でダウンロードできます。

また、アプリから請求書をメールで送信すると、すべての明細に付加価値税(VAT)がかかっていて必要な情報がそろっていれば、添付のPDFはそのままZUGFeRD形式の電子インボイスになります。公的機関向けのXRechnungは、ご自身でその機関のポータルにアップロードしてください。

Peppolネットワーク経由での送信には対応していません。

日本からドイツの取引先に請求している、または2027年まではPDFで請求する予定ですか? ドイツ向け請求書ジェネレーターなら、登録不要で売上税入りの請求書を作れます。まとめて管理したい場合は無料アカウントを作成してください。

EU各国の電子インボイス導入状況は、2026年のEU電子インボイス要件でまとめています。

よくある質問

2028年以降もメールでPDFを送るだけでよいですか?

ドイツ国内の事業者宛ての請求書では認められません。例外はKleinunternehmer、250ユーロ以下の請求書、乗車券です。個人顧客や国外の顧客にはPDFを引き続き送れます。

日本からドイツの企業に請求しています。対象になりますか?

ドイツに本店や恒久的施設がなければ対象外です。義務が生じるのは双方がドイツに拠点を持つ場合だけです。それでも取引先がE-Rechnungを希望することはあり、その場合はジェネレーターで作成できます。

80万ユーロの基準にはどの売上が含まれますか?

§ 19 Abs. 2 UStGにいう前暦年の総売上です。2027年については2026年の売上で判断します。

XRechnungとZUGFeRDのどちらを使うべきですか?

どちらも有効で、形式は取引先と取り決めます。公的機関は通常XRechnungを求めます。専用ソフトのない企業には、いつも通りPDFとして開けるZUGFeRDのほうが扱いやすいことが多いです。

電子インボイスのソフトに認証は必要ですか?

いいえ。ドイツにはXRechnungやZUGFeRD向けのソフトウェア認証制度はありません。請求書の内容に責任を持つのは、ほかの請求書と同じく発行者です。

2026年10月20日時点の情報です。出典:§ 14・§ 27 Abs. 38 UStG、§ 33・§ 34a UStDV、BMF通達(2024年10月15日・2025年10月15日)。本記事は税務アドバイスではありません。

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