KipBill

フリーランスの請求書の書き方:インボイスと源泉徴収

登録番号、税率ごとの消費税額、源泉徴収税額を記載したフリーランスの請求書の例
KipBill TeamKipBill Team
17 分で読めます

インボイス発行事業者に登録しているフリーランスの請求書には、①氏名と登録番号、②取引年月日、③取引内容、④税率ごとに合計した対価の額と適用税率、⑤税率ごとの消費税額、⑥相手方の氏名または名称の6項目が必要です。登録していない免税事業者は適格請求書を発行できませんが、通常の請求書は発行できます。デザイン料や原稿料などの報酬では、取引先が10.21%(100万円以下の部分)を源泉徴収して振り込むのが一般的です。

この記事では、個人で仕事を受けるデザイナー、ライター、エンジニア、翻訳者などを想定して、請求書に書くべきことを順に説明し、最後に記入例を載せています。まず1枚作ってみたい方は、日本向けの無料請求書ジェネレーターをお使いください。登録不要でPDFを作成できます。

適格請求書(インボイス)の記載事項

国税庁が定める適格請求書の記載事項は次の6つです。

  1. 書類作成者の氏名または名称および登録番号
  2. 取引年月日
  3. 取引内容(軽減税率の対象品目であればその旨)
  4. 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および適用税率
  5. 税率ごとに区分した消費税額等
  6. 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

フリーランスの仕事はほとんどが10%の標準税率です。8%の軽減税率の品目(飲食料品など)を一緒に請求する場合は、その品目に「※」などの記号を付け、「※は軽減税率対象」と注記します。

法律上の記載事項ではありませんが、実務では次の項目も入れておきましょう。

  • 請求書番号:2026-0012 のような連番にすると、問い合わせや入金確認が楽になります。
  • 支払期日と振込先(銀行名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義)。
  • 振込手数料の負担:どちらが負担するかを契約や請求書に明記しておくと、入金額が合わないトラブルを防げます。

登録番号は「T+13桁」

登録番号は、法人なら「T+法人番号」、個人事業者などそれ以外の事業者は「T+13桁の数字」です。登録の通知書に記載された番号を、そのまま請求書に書きます。

消費税の端数処理は「税率ごとに1回」

消費税額に1円未満の端数が出る場合、1枚の適格請求書につき、税率ごとに1回端数処理します。切上げ・切捨て・四捨五入のどれを使ってもかまいません。明細の行ごとに端数処理して合計する方法は認められていないので、注意してください。

免税事業者のままでいる場合

基準期間(個人事業者は前々年)の課税売上高が1,000万円以下などの条件を満たしていれば、登録しない限り消費税の免税事業者のままでいられます。その場合、

  • 登録番号がないため、適格請求書は発行できません。
  • 通常の請求書(氏名、日付、内容、金額などを書いたもの)は今までどおり発行できます。
  • 取引先(課税事業者)は、あなたへの支払いにかかる消費税を全額は控除できません。

取引先側の控除には経過措置があります。国税庁の令和8年度税制改正の資料によると、免税事業者などからの仕入れについて控除できる割合は次のとおりです。

期間控除できる割合
2023年10月1日〜2026年9月30日80%
2026年10月1日〜2028年9月30日70%
2028年10月1日〜2030年9月30日50%
2030年10月1日〜2031年9月30日30%

また、2026年10月1日以後に開始する課税期間からは、一つの免税事業者などからの仕入れについて経過措置を使える上限が年間1億円に引き下げられています。フリーランス1人あたりの取引額で上限に届くことはまれですが、取引先から登録の有無を聞かれる理由の一つです。

登録するかどうかは、取引先の顔ぶれで考えるのが現実的です。顧客が企業中心なら登録を求められやすく、個人や免税事業者が中心なら免税のままでも影響は小さめです。判断に迷う場合は、税務署や税理士に相談してください。

2割特例と3割特例

免税事業者がインボイス登録をして課税事業者になった場合、納める消費税を軽くする特例があります。

  • 2割特例:納付税額を売上税額の2割にできる特例です。適用は2026年9月30日を含む課税期間まで、個人事業者なら令和8年分(2026年分)の確定申告までです。
  • 3割特例:令和8年度税制改正で新設されました。インボイス登録によって免税事業者から課税事業者になった個人事業者が、**令和9年分・令和10年分(2027年分・2028年分)**の申告で納付税額を売上税額の3割にできる特例です。基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下であることなどが要件で、法人は使えません。

たとえば2027年に税抜売上800万円(消費税80万円)なら、3割特例での納付税額は24万円になります。どちらの特例も申告時に選ぶもので、請求書の書き方は変わりません。

源泉徴収:10.21%の計算と請求書への書き方

個人に原稿料、デザイン料、講演料などの報酬を支払う会社は、所得税と復興特別所得税を源泉徴収して国に納めます。国税庁(タックスアンサーNo.2795)の計算方法は次のとおりです。

  • 1回の支払金額が100万円以下:支払金額 × 10.21%
  • 100万円を超える場合:(支払金額 − 100万円)× 20.42% + 102,100円

1円未満の端数は切り捨てます。請求書で報酬の額と消費税の額がはっきり分けて書かれていれば、税抜の報酬額だけが源泉徴収の対象になります。税込の金額しか書いていないと、消費税分にも源泉徴収がかかってしまうので、税抜金額と消費税額は必ず分けて記載しましょう。

源泉徴収税額は請求書に書くことが法律で義務づけられているわけではありませんが、「源泉徴収税額」と「差引お振込額」を書いておくと、入金額の確認がずっと簡単になります。

支払期日:フリーランス法の60日ルール

2024年11月1日に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」により、企業からフリーランスへの委託では、報酬の支払期日を成果物などを受け取った日から60日以内のできる限り短い期間で定めることになっています。公正取引委員会によると、「翌月10日まで」のような書き方では期日が特定できないため、支払期日を定めたことにはなりません。また、請求書が届いていないことを理由に、決めた期日の支払いを遅らせることもできません。

請求書には「2026年12月31日」のように具体的な日付で支払期日を書いておくのが確実です。期日を過ぎても入金がないときの連絡文は、支払い督促メールのテンプレートを参考にしてください。

記入例

デザイナーの佐藤さん(インボイス登録済み)が、11月にWebサイトのデザインを請け負い、30万円(税抜)で請求するケースです。

  • 請求書番号: 2026-0012
  • 請求日: 2026年11月30日 · 取引年月日: 2026年11月28日(納品日)
  • 請求元: 佐藤 花子 · 登録番号 T1234567890123
  • 請求先: 株式会社サンプル 御中
  • 内容: Webサイトデザイン一式(トップページ・下層5ページ)
項目金額
小計(10%対象・税抜)300,000円
消費税(10%)30,000円
合計330,000円
源泉徴収税額(300,000円 × 10.21%)−30,630円
差引お振込額299,370円
  • 支払期日: 2026年12月31日
  • 振込先: ○○銀行 △△支店 普通 1234567 サトウ ハナコ

源泉徴収は税抜の30万円にだけかかっています。取引先が消費税込みの33万円に源泉徴収をかけると33,693円になり、差は3,063円です。

KipBillで請求書を作る

上の請求書は、登録不要の無料ジェネレーターで作れます。毎月請求するなら、無料のKipBillアカウントに顧客や番号、履歴をまとめておけます。設定のポイントは次のとおりです。

  • 登録番号: 設定の税番号の欄に「T1234567890123」を入力し、ラベルを「登録番号」に変更します(初期のラベルは「法人番号」です)。PDFにはラベルと番号が表示されます。
  • 税率ごとの合計: 明細ごとに10%または8%を設定すると、PDFに税率ごとの消費税額が表示されます。複数の税率がある場合は、税率ごとの対象額も並べて表示されます。
  • 源泉徴収: 請求書に源泉徴収(10.21%)を追加すると、税抜の小計に対して計算し、差引の請求額を表示します。1回の支払いが100万円を超える場合の2段階の計算には対応していないので、その場合は金額を確認してください。
  • 軽減税率の記号: 「※」は明細の説明に手入力し、注記は備考欄に書きます。

KipBillは消費税や所得税の申告を代行するものではありません。申告は会計ソフトや税理士で行ってください。

無料アカウントを作成すれば、請求書を保存してメールで送れます。請求書を送るときの文面は請求書送付メールの例文も参考にどうぞ。

よくある質問

免税事業者でも請求書は出せますか?

出せます。登録番号を書いた適格請求書は発行できませんが、氏名、日付、内容、金額を書いた通常の請求書は発行できます。取引先は経過措置により、2026年10月1日から2028年9月30日までは消費税相当額の70%を控除できます。

源泉徴収は税込と税抜のどちらにかかりますか?

請求書で報酬の額と消費税額がはっきり分かれていれば、税抜の報酬額だけにかかります。分かれていない場合は税込の金額が対象です。

2割特例はいつまで使えますか?

2026年9月30日を含む課税期間までです。個人事業者なら2026年分の確定申告が最後で、2027年分・2028年分は条件を満たせば3割特例を使えます。

請求書の消費税は明細ごとに計算してもいいですか?

明細ごとに計算すること自体はできますが、1円未満の端数処理は1枚の請求書につき税率ごとに1回です。行ごとに端数処理した額を合計する方法は認められていません。

支払期日はいつにすればいいですか?

企業から委託を受けた仕事なら、成果物を渡した日から60日以内です。「月末締め翌月末払い」でも60日を超えないかを確認し、請求書には具体的な日付を書きましょう。

共有
KipBill Team

KipBill Team

永久無料。クレジットカード不要。

無料で請求書作成を始めましょう

40か国以上のフリーランスや小規模事業者と同じように、KipBillで数分でプロの請求書を作成しましょう。

プロフェッショナルなPDF請求書
60秒以内に完成
多言語・多通貨対応
クレジットカード不要